『グスティネッラ』初入荷✨
- ラ・カンティネッタ多摩川 店主
- 1 日前
- 読了時間: 4分
海外のワイン記事を購読している店主ですが、少し前に、あるMWのサイトの記事を読んで「飲んでみたいなー」と思っていたワイナリーがありました。また日本へ輸入していたのはマルゲリータ・オットも輸入する『Vin Amis』さん。まだ若い3人が運営されているインポーターですが、彼らの発掘力とワインに対する情熱にはいつも頭が下がります。
今回ご紹介する「グスティネッラ」の舞台は、シチリア・エトナ火山の北西側にあるマレットという小さな村。エトナといえば今や大人気のエリアですが、この村は公式なエトナ DOCの枠外。いわばワインの表舞台からは外れた場所でした。あの辺はブドウよりピスタッキオのイメージですよね。
造り手のソニア・ガンビーノは、もともと海外で醸造を学んだ女性。でも最初からここでワインを造るつもりはありませんでした。2020年のコロナ禍で職を失い、避難するためにやってきたのが家族の所有するマレットの古い家。水道すら通っていないその家を直しつつ、ヒマ潰しに庭仕事(家庭菜園)を始めたのがすべての始まりです。
そこで出会ったのが、近所に住む80代のドン・ヴィンチェンツォというおじいさん。彼に誘われて見に行った畑に、ソニアは大きな衝撃を受けます。
そこに広がっていたのは、標高1,100〜1,300mという目のくらむような高地にある、樹齢100年を超える葡萄の古樹たち。エトナの有名品種ではなく、昔持ち込まれたグルナッシュやアリカンテ、名前も分からないローカル品種たちが、害虫の被害を免れて自分の根(自根)で力強く生き残っていたんです。
「私、ここでワインを造らなくちゃ」
直感したソニアはおじいさんに「葡萄を買わせてほしい」と頼みます。するとおじいさんは「お金はいらない。毎日飲む分のワイン365リットルをくれ」と返してきました。
この粋なやり取りからすべてがスタートします。
噂は小さな村中にあっという間に広まり、「うちの畑も見てくれ!」と老人たちが押し寄せてきました。実はソニアのおじいさんが昔、村でパルメント(伝統的なワイン醸造所)をやっていて、村人たちはそのことを覚えていたんですね。人手が足りない初の収穫期には、村人や友人が30人も集まって手作業で葡萄の房から粒を外す作業(除梗)を手伝ってくれました。
まさに村が一丸となったワイン造り。ワイナリー名の「グスティネッラ」はおじいさんへの感謝、そして看板キュヴェの「ユンジムネ」はシチリアの方言で「みんな一緒に」という意味を持っています。
醸造面でも、葡萄のエネルギーをそのまま届けるために木樽は使わず、ステンレスタンクや大きなガラス瓶(デミジョン)などで優しく仕込まれています。
【白ワイン / グレカニコ・ドラート70%、その他30%】
10個の小さな区画から手摘みした白葡萄を、そのまま混ぜ合わせて醸造した一本。
柑橘や白い花、火打石のようなキリッとしたミネラルの香りが立ち上ります。皮や種を果汁に少し漬け込む「マセラシオン」という手法をとっているため、果実の旨味やちょっとした渋みの心地よい質感が味わえます。標高の高さがもたらす伸びやかな酸味があって、余韻まで透き通るような清涼感が続く爽快な白です。
【ロゼワイン / グルナッシュ70%、その他30%】
グルナッシュを中心に、約28日間じっくり葡萄の果皮を漬け込んで旨味と色合いを抽出したロゼ。
ラズベリーやザクロのような甘酸っぱい果実感に、ハーブやスミレの優雅な香りが重なります。古樹ならではの凝縮感と、皮由来のきめ細かいタンニンが程よく溶け込んでいて、シンプルそうでそうではない奥深い味わい。
【赤ワイン / グルナッシュ40%、グレカニコ・ドラート30%、その他30%】
「コンフィーネ(境界)」という名前の通り、DOCの枠外にある単一畑から生み出されるキュヴェ。
面白いのは、黒葡萄だけでなく白葡萄(グレカニコ)も一緒に混ぜて発酵させていること。果肉まで赤い特殊な葡萄も混ざっているため、色合いは透き通ったきれいな赤色になります。イチゴのようなフレッシュな果汁感と、白葡萄がもたらす軽快な飲み心地が見事に調和していて、高標高の冷涼感と火山性土壌由来の塩味が印象的な一本。
大手生産者からも注目されるポテンシャルを秘めたマレットの地で、土地の歴史と老人たちの想いを丸ごと引き継いだソニア。彼女の手仕事から生まれるワインは、澄んだ山の空気と人の温もりがそのまま詰まっているような味がします。ぜひ一度お試しください!





コメント